ChromebookでWindowsデスクトップ環境を使う方法は3つ
ChromebookでWindowsデスクトップ環境を使うとすると、
- Windows物理マシンにリモート接続する
- Windows Serverにリモート接続する
- Parallels Desktop for Chromebook Enterpriseを使う
の3つの方法から選ぶことになります。
なお、Chromebook本体にWindows OSをインストール方法に関する記事ではないのでご注意ください。そちらを調べている方は「Mr. Chromebox」で検索をどうぞ。
Windows物理マシンにリモート接続する
一番手頃なのはWindows物理マシンを使う方法です。すでに持っているマシンを利用することもできますし、別途Windowsマシンを購入しても良いでしょう。この方法の場合、接続先マシンを豊富なWindowsマシンから選べることが大きなメリットです。
GPUを搭載するような高性能なデスクトップマシンを選ぶこともできますし、消費電力の少ないNUCのような小型PCにするのも良いでしょう。設定時以外に液晶ディスプレイは不要なので、PC本体だけで運用できるのも良いところです。
リモートデスクトップアプリも、Google公式の「Chrome リモートデスクトップ」があるので無料で利用可能です。
デメリットとしては、ネットワーク経由で操作するので遅延が発生することです。この辺りは、昔から比べればだいぶマシになったとはいえ、マシンを直接操作する時のようにサクサクは動きません。
Windows Serverにリモート接続する
VPSやクラウドを利用してWindows Serverを立ち上げてリモート接続する方法です。
Windows Serverなので、複数人で利用するケースなどでコスパが高くなりますが、維持コスト(サーバー費用 + Windows RDP月額ライセンス)が必要なので個人用途ではあまりコスパがよくありません。また、リモート接続なので、遅延は発生します。
例えば、Windows Serverに対応しているConohaでは、CPU1コア・メモリ1GBのプランで月額1,000円、これにRDPライセンスが月額700円なので、月額実質1,870円からとなり、1年では2万円以上になります。
Windows Serverに対応したサービスは、ConohaやAzureなどがあります。
Windows Virtual Desktop | Microsoft Azure
Conoha for Windowsは個人用途に向いていますが、Azure Windows Virtual Desktopは100人以上で使うような大規模用途に向いています。
Parallels Desktop for Chromebook Enterpriseを使う
Parallels Desktop for Chromebook Enterpriseは、Chromebook内にWindows環境を仮想マシンとして立ち上げることが出来るサービスです。利用するにはChromebook Enterpriseの利用が必須となります。
Chromebook Enterpriseは、Enterpriseという名前ですが、Googleアカウントがあれば個人でも利用できます。ライセンスは1台あたりの料金で、買いきりで21,000円、課金式で年額7,000円と高額です。
ここからさらにParallels Desktopの利用料も増えるため、コスパではWindows Serverを利用した方が良いでしょう。
メリットとしては、リモート接続ではないので遅延がないことですが、処理性能はChromebook本体よりも低くなるため高くありません。
それぞれの違いとメリット・デメリット
最後に、それぞれの使い方の違いとメリット・デメリットを見てみましょう。
方法 | 費用 | タイプ | 遅延 | 処理性能 | 外出先での利用 |
---|---|---|---|---|---|
Windows物理マシンにリモート接続 | 本体代 | リモート接続 | あり | ◎ | △ |
Windows Serverにリモート接続 | サーバー費用 + Windows RDPライセンス | リモート接続 | あり | ○ | ○ |
Parallels Desktop for Chromebook Enterprise | Chromebook Enterprise費用 + Parallels費用 | 仮想環境 | なし | △ | ○ |
処理性能重視ならWindowsへのリモート接続
リモート接続はどうしても遅延がデメリットになってしまいますが、処理性能を考えると仮想環境である「Parallels Desktop for Chromebook Enterprise」よりも高く、高性能マシンも選べるのが大きなメリット。動作が遅いと遅延以上にストレスが溜まります。
また、リモート接続ならChromebook以外の環境(WindowsマシンやmacOSマシンなど)からも利用できたり、複数人でマシンを共有できたりと、様々な付加的なメリットも出てきます。
遅延を気にしない作業であれば、リモート接続が良いでしょう。
遅延が嫌ならParallels Desktop for Chromebook Enterprise一択
一方で、ローカル内で完結するとParallels Desktop for Chromebook Enterpriseは、遅延がなく動作速度が速いのが最大のメリット。
ただし、処理性能はベースとなるChromebookに依存するため、高い処理性能は望めません。また、利用するためのコストが高いのは最大のデメリットと言えます。
Parallels Desktop for Chromebook Enterpriseを導入するための費用を考えたら「もう一台別のWindowsマシンを使い分けすれば良いレベル」なので、「メイン環境はどうしてもChromebookではないとダメ」というケースで利用されるのがほとんどでしょう。
ChromebookでWindowsデスクトップを使う方法をみてきました。
全く違うOSであるChrome OSとWindowsを同時に使うため、どうしても無理が生じてしまうのは仕方ないところですが、それでもChromebookでWindowsを使うための選択肢は増えてきていると言って良いでしょう。