Windowsエミュレータとは?
まずはWindowsエミュレータについておさらいしましょう。
コンピュータにおけるエミュレータとは、「コンピュータのOS上で、別のOS(もしくは別のOS用のソフトウェア)を稼働させるためのソフトウェア」のことを指します。仮想マシンソフトとも呼ばれます。
Windowsエミュレータで有名なのは、
- Virtualbox
- VMware
- Parallels Desktop
の3つです。
それぞれ、ホストOS(エミュレータを起動させるOS)としてはWindows版、macOS、Linux(一部)に対応しています。エミュレートできるOS(ゲストOS)は、仮想マシンソフトによって異なりますが、Windows、macOS、Linux、Chromium OSなど多くのOSが起動可能です。
余談ですが、仮想マシンでmacOSを利用する場合は、AppleのmacOSライセンス上、macOS上の仮想マシンソフトでのみ利用できるものとされています。
Windowsについては、Windowsの正規ライセンスを持っていれば、物理マシン、仮想マシンの制限はありません。ただし、メーカー製PCに付与されたWindowsライセンス(バンドルライセンス)を、仮想マシンに使いまわすことは、ライセンス上できません。
Chromebookで使えるWindowsエミュレータ
Wine (Linux版)
2020年9月現在、Chromebookで使えるWindowsエミュレータは、LinuxアプリであるWineがファーストチョイスと言っても過言ではありません。
Wineは、Virtualboxなどの「OS自体を立ち上げる仮想PC」とは異なり、互換レイヤーと呼ばれる方法で、「WindowsではないOSでWindowsソフトウェアを起動させる」エミュレータです。
WineはChromebookのLinux環境であるcrostiniでも利用できます。
ただし、Wineは対応しているアプリケーションが少ない・古いことが多いため、全てのWindowsソフトウェアを利用できるエミュレータではないので、「ChromebookでもWindowsソフトが使える」とは言い切れません。
ゲストOS上でほぼ全てのWindowsソフトウェアが利用できるVirtualboxとは違って、残念ながら「完璧なWindowsエミュレータ」とは言えません。
Parallels Desktop for Chromebook Enterprise
Wineとは異なり、Chromebook上で仮想PCを立ち上げられるのが「Parallels Desktop for Chromebook Enterprise」です。
Parallels Desktop for Chromebook Enterprise
「Parallels Desktop for Chromebook Enterprise」は仮想PCなので、基本的には全てのWindowsソフトウェアが利用可能です。
ただし、名称にある通り、利用するにはChromebook Enterpriseの利用が必須となるため、個人用途では利用できません。
Virtualboxは利用できない
Chrome OS版のVirtualboxは存在しないため、ChromebookでVirtualboxを利用する場合、Linux環境にインストールすることになります。
しかし、ChromebookのLinux環境(crositini)自体が仮想マシンなので、ChromebookのLinux環境にVirtualboxをインストールすることはできても、仮想マシンを起動することができません。
ソフトウェア | エミュレート方法 | 対応Windowsソフト |
---|---|---|
Wine | 互換レイヤー | 一部 |
Parallels Desktop for Chromebook Enterprise | 仮想マシン | ほぼ全て |
Virtualbox (利用不可) | 仮想マシン | ほぼ全て |
Windowsエミュレータが使えないなら、リモートデスクトップも検討しよう
Chromebookは、macOSやLinuxと違って、Windowsエミュレータ環境が整っているとは言えない状況なため、どうしてもWindowsソフトウェアが必要なのであれば、リモートデスクトップで、Chromebookから物理Windowsマシンへアクセスするのも手です。
最近では、型落ちのWindows PCが2、3万円で購入できるようになってきているので、自宅やオフィスのデスクにWindowsマシンを置きっ放し・起動しっぱなしにして、Chromebookから操作するというのも現実的な選択肢と言えます。